比較的よく遭遇する症状の中から、放置すると危険な場合がある症状について記載させていただきました。放置すると危険な症状をすべて網羅している訳ではありませんので、御了承ください。
のどの症状
嚥下痛(飲み込む時に痛い)
最悪、窒息もあります
咽頭、扁桃、喉頭の強い炎症によって起こる症状です。この中で、喉頭の炎症で起こったものに、急性喉頭蓋炎という病気があります。これは重症になると気道粘膜の腫脹を起こし、最悪の場合は呼吸できなくなって、死に至る事がある危険な病気です。嚥下痛があったら、耳鼻科を受診しましょう。
片側の咽頭痛
重症になれば手術です
扁桃の周囲に膿が溜まる扁桃周囲膿瘍の可能性があります。多くは、嚥下痛を伴い、重症になると開口障害(口が開けにくくなる)を伴ってきます。軽傷なら抗生剤内服で治癒する場合もあります。重症になると切開して排膿させる必要が出てくる可能性もあります。また、重症例では、上記の急性喉頭蓋炎を併発することがあります。片側の咽頭痛もすぐに耳鼻科を受診しましょう。
嗄声(声がかすれる)
喉頭癌もあります
会話する事が多い人、大声を出す事が多い人に多いのですが、この場合は声帯ポリープ、声帯結節といった声帯のむくみによる事が多いようです。会話の量が多い、少ないに関わらず、喫煙者に嗄声がみられるようになったら、喉頭癌の危険性があります。話す量が多いためと決めつけないで、耳鼻科を受診しましょう。
その他
舌の口内炎
舌癌もあります
舌の縁(へり)の、いつも同じ場所に口内炎をくり返している人は要注意です。歯によって舌が擦れている可能性があり、放置していると、この場所に舌癌が発症する危険があります。歯が内側(舌側)に傾いて生えている内転歯か、虫歯によって擦れている場合が多いようです。一見、普通の口内炎でも、すでに舌癌が発生している事がありますので、耳鼻科を受診しましょう。
複数の口内炎
ウイルスかも
口の中に口内炎が同時に複数できた時は、ウイルスが原因の場合があります。単純ヘルペスや、痛みが強い場合には、帯状疱疹の可能性があります。単なる口内炎と決めつけないで、耳鼻科を受診しましょう。
炎症なのか?癌なのか?
首にできた腫瘤(しこり)
首の腫瘤で医療機関を受診する方は多いかと思います。それだけ頻度が高い症状なのかもしれません。首の腫瘤の診察は、最初に触診を行います。この時、医師が診るのは、腫瘤の大きさはもちろんですが、注意して触診するのは、
①圧痛(押していたいか?)
②可動性(腫瘤を揺すって、よく動くか?)
③硬さ(硬いか、柔らかいか、弾力があるか)
④成長速度(腫瘤に気付いてから、どの位の期間でここまで大きくなったのか)
一般に、圧痛があり、可動性が良く、弾力があり柔らかい腫瘤は炎症によるものが多いと言われており、圧痛が無く、揺すっても動きが悪く、硬い腫瘤は腫瘍(悪性も含む)が多いと言われておりますが、必ずしも、その通りではありません。
圧痛があり、よく動き、弾力がある腫瘤で、抗生剤内服で圧痛が改善し、腫瘤も縮小した症例で、抗生剤中止ですぐに大きくなるため、念のため組織検査をしたら癌だったという例がありました。細菌感染に使う抗生剤で、なぜ腫瘍が縮小したのかは不明です。
いずれにしても、診断の難しい症状なので、首の腫瘤に気付いたら、すぐに医療機関を受診しましょう。